タイト海外通信「INTERZUM 2015」
5月6日~8日の3日間、ドイツ・ケルンで開催されたインターツム(以下Interzum)を視察した。
久し振りのInterzumで会場の広さは相変わらずである。
3日間では充分に見学が出来なかったが、弊社の取引先を中心に新しい商品・トレンド等を掴む事が出来た。
●ALPI社(イタリア)
弊社の主要な取引先である。
ALPILIGNUM(アルピリニューム、天然木工芸突板)の新柄・新商品をブース中央に展示しており、ALPIKORDの塗装(マット、ハイグロス)とメタリック塗装が目を引いた。
また、接着層にアルミ箔やアルミニウムを入れた突板(SILVER RAIL)の展示が新鮮であった。
ブース中央のカウンターには、今回ブルガリに採用された寄木柄をウエンゲ柄で引き立つ様に貼り合わせ、デザインの良さを強調。
ブース中央の5Mの柱には、今年流行のグレー系の突板のパネルを展示し、遠目にハッキリと判る板目柄の大柄のブックマッチでさりげなく見せていた。
ブースの外側のパネルはアルピコレクションを塗装品で展示。
受付のカウンターの腰板には、突板にアクリルを挟んだ透明性のあるALPI RADIANTを使用。
ブース全体が明るく感じられた。
*ALPI RADIANTはInterzumのBest of Best Awardを受賞
今までのALPI社の展示とは違い、新しく斬新な商品がたくさん展示されており見ごたえのあるブースとなっていた。
●ROHOL社(オーストリア)
弊社製品ラフベニヤの供給元である。
ラフソール(鋸目)、ウェーブソール(波目)に着色した突板のパネルやクラックのオーク材等を展示。
(この手の商品は各社一斉に出展していた)
また、別室ではLEDに反応する蓄光を接着剤に入れた商品を展示していた。
店舗やホテルなどに採用したら面白そうな製品であった。
●GLUNZ(ドイツ)
カラーMDF(トパンカラーMDF)の輸入先。
今回、ブランド名をメラミン化粧板などと統合し「Innovus」へ変更(TOPAN COLOR名は使わなくなる)
また、今回のInterzumではカラーMDFの新色を発表。
ブラック以外のレッド、イエロー、ブラウン、ブルー、グリーン、オレンジは廃番となった。
代わりに新色として、ロイヤル(ブルー)、ベリー(レッド)、カレー(イエロー)、テラ(ブラウン)、グレーの5色が増えた。
(オレンジとグリーンは完全に廃番となる)
*弊社の在庫も無くなり次第変更予定
新色は従来の原色に近い色から、全体的に深みのある上品な色になったと思う。
(写真などは近日中にアップします)
●DANZER(ドイツ)
弊社3Dベニヤ(3次元成型合板用の単板)の供給元
ここの3Dベニヤはイスの成型が主である。
また、Danzerとしては突板の製造も行っており、今回アウディに採用されたコンソール部の成型品を展示してあった。
突板にアルミニウムを挟んだALPIのSHINY RAILと類似の商品であった。
●メラミン関係
HOMAPAL社、ABET社を見学したが、特に目新しさは感じられなかった。
メタリックのハイグロスエンボスに力を入れていた。
●その他
・O社
天然素材(草・花)を使用した化粧板メーカー
天然の草・花・実(コーヒー)等をバッカーの上に化粧した新素材を出展。
見た目も斬新だが、天然素材をそのまま使用しているので、それぞれの素材が持つ良い香りが魅力的であり、その香りは10年も持続するという。
吸音効果のあるパネルにすることも出来るので、視覚的な効果だけでなく、色々な場面で利用できそうな材である。
エコを打ち出したい店舗・オフィスなどの内装の壁面や什器に使用したらかなりインパクトのある材であると思う。
素材としては非常に面白いが、懸念材料としては価格がかなり高いこと。
使用方法などを含め、今後詰める必要がある。
・I社
鉄錆を表現した内装材を展示。
触っても粉などの汚れが手につかず、芯材に本物の鉄を使っているので磁石がつくという。
創作家具、店舗壁面や展示用什器などに使用したら面白い材である。
・U社
成型用合板を展示。
これまでの2次元・3次元の成型合板は金型などの設備の費用の問題で中々簡単には新しい形状のものを生み出せなかった。
ここの製品は特殊な接着剤を使用することにより、市販のホットプレートやジャッキで作成したプレス機で手軽に成型品が作成できるという革新的な商品であった。
実際に目の前でデモンストレーションを行ってくれ、ホットプレートで3分、木型で2分プレスしただけで簡単に成型品が出来上がった。
量産の場合は木型ではなく、スティール型を使用した方が冷却などが迅速に出来るのでお勧めとのことであった。
それでも、今までのプレスを考えたら、時間やコストを抑えられることは間違いない。
今年のInterzumの印象は、天然木突板ではユーカリ等、今まで突板としては使われていない材が出てきた。
色目的には天然木工芸突板、印刷紙等もグレー系が目立った。
また、ラフベニヤ、クラック等の突板も各社出展しており、トレンドは続くと思われる。
次にくるのは古木調の材であるが、持続性があるかは疑問である。
新しい商品としては天然素材の材料や成型の技術等、新しい風が吹きそうな予感がする2015 Interzumであった。
報告者:TAYT T.T
2015/05/26